【前編】彼女「癌が見つかったから別れよう」俺「嫌だ。結婚して支えていきたい」→新婚生活のスタートと共に癌との戦いが始まった

俺は小学校の時、習字の教室に通っていたんだ。 
そこで彼女にはじめて会う。 

通っていた小学校は違うけど、同級生ってことですぐに仲良くなった。 

でも当時、恋愛感情なんて分からない俺は普通に友達として彼女と接していた。 

それから時が過ぎて、俺は中学校に入学することになる。 
入学したのはいたって普通の公立中学。ただ在校人数がかなり多い、所謂マンモス校だった。 

入学してすぐ、クラス会長を決める話し合いみたいなことがあり、なぜかクラス代表は俺になった。 

今考えると、あれってデキレースなのなw 
小学校の時から何か「役員的な」事をしていたヤツが任命されるみたいなw 

それからしばらくして、学年会が開かれる事になり、俺は同じクラスの女子代表と参加することになった。

 

会議室に入ると、そこには彼女がいた。 
小学生の時習字教室で一緒だった彼女だ。 

そこでの印象はびっくりする位大人びていたことだ。 

年間行事予定の担当などを話し合い、会議は終わった。 
俺は元々面倒くさいことが好きではないので、クラス代表になったことを公開した記憶がある。 

職員室に寄り会議内容を説明したあと、解散する事になったのだが、そこで彼女に呼び止められた。 
「校門で待ってて。一緒に帰ろう。」

教室に帰り、カバンを持って校門に向かった。 

彼女はすごく明るい笑顔で待っていてくれた。 
二人共変に意識して、小学生の時の事を「昔」とか言いながら一緒に帰った。 
入学してすぐは授業が短い事もあり、彼女と一緒に帰る日が続いた。 

それから少し経って、俺はバスケ部、彼女はバレー部に入部した。 
元々ミニバスをやっていた俺は夏の3年生引退戦からレギュラーとしてベンチ入りできた。 
でも背が高くないので、ポジションはポイントガードw点を取りに行くカッコイイポジションではないw 

ただ、その頃の中学バスケは「昔風」の練習で、水は飲まない方が体力が付くとか、とにかくキツイものだった。

 

そんなこんなで学校生活を送っていると、彼女から廊下で手紙を渡された。 
昔あったろ?ルーズリーフの紙変な折り方して書いたやつ。 

「A男とB子が付き合ってるの知ってる?そのことで話あるんだ。今日午後練休みだから終わったら中央公園来て!」 
こんな感じだったと思う。 

この当時一緒に帰っていた幼馴染には適当に理由をつけて別に帰った。 

公園に行くと彼女が待っていた。 

彼女、今は平原綾香似って言われるから綾香って書く。 

綾香「遅くない?ずっと待ってたんだけど!」 
俺「ごめん、ところでどうした?」 
綾香「A男達付き合ってるんだって!」 
俺「ふーん」 
綾香「あの二人小学生の時から好き通し(当時はこう言った)だったみたいだよ」 
俺「そっか」 
綾香「そっかって・・・あのね話なんだけどさ・・・」

 

綾香「あたしね、○○先生(習字の先生)のとこ通ってる時から、俺が好きだった。 
あたしもA男とB子みたいに俺と付き合いたい。バスケ頑張ってるのも知ってる 
バスケ部ファンの子がいるのも知ってるよ(当時スラダン全盛期でバスケ部はモテた) 
でもね俺を応援してる気持ち、誰にも負けない気がする。これからも一番近くで応援させてください」 

俺「・・・。」 

綾香「分かってるよ。俺とは小さい頃から友達だし・・でも迷惑かけないから、彼女にしてください!」 

俺「うん」

正直当時の俺にはあまりよく分からなかったが、俺と綾香は付き合う事になった。 

付き合うっていってもデートと呼べるものはなかったかもしれない。 
お互いに部活がお終わって一緒に帰りながら話をするのがデートになっていた。 
手を繋いでドキドキしてみたり、冬に寒ければ人目につかない場所で抱きしめてみたり。 

そんな毎日が当時は新鮮で、ドキドキして、なんか大人になっている感じがしていた。
 今考えるとこのクソガキって感じだけどねwww 

夏休みには親に宿題するって嘘ついて図書館にいったり、自由研究の題材にするっていって無駄に出かけては 
綾香と会っていた。 
 

中学2年の夏休み、地元の神社でお祭りがあり、俺と綾香は一緒に行った。 
綾香は紫の浴衣を着ていた。 
地元の祭りって事もあって、友達に会っては冷やかされたw 
中学2年生っていえば、女性に興味をもつ年頃だよね?友達の手前、「くっつくな」とか言ってたw 

でも、その日の綾香は全然離れないどころか、ずっと手を繋いでいた。 

祭りも終わりに近づき、綾香は境内の裏に俺を誘った。 
綾香「俺・・・これからもずっと好きだよ。ずっと一緒にいて?」 

俺は綾香にキスをした。 
キスなんてそんな洒落たものじゃなかったかもしれない。すごく不細工でとにかく必至だった。 
無我夢中で唇を合わせる、そんな感じだ。 

俺「これからも綾香を離さない。ずっと一緒だよ。」 

でもそこで当時の俺には耐えられない事を綾香は言った。 

綾香「転校するんだ。」

 

転校するとかwマンガかよwありえねえw 
転校するのに「ずっと一緒にて?」なんだそれ?www 
今なら釣り乙wwwって思うんだろうなwww 


その場では大人しくしている事しかできなかった。 

親の都合で引っ越ししなければならない。 
俺は関東、綾香は中部。 
自分はこっちに残りたい。でも無理。 
だからもう会えなくなる。 

中学生の自分たちにできることなんて何もなかった。 

綾香「最後に俺と思いで作れて、あたしは幸せです。俺が誰かを好きになってもあたしは好きでいる。」 

そういって綾香は帰った。 
俺は悔しさ?と悲しさで泣いた。とにかく泣いた。何も言ってあげられない、何もしてあげられない自分に泣いた。 


そして中学2年生の夏、俺の初恋の相手は去って行った。

経済的にも物理的にも当時の俺には何もできなかった。 
まあ当たり前だろ?中学生が遠距離恋愛なんてできない。 
遠距離恋愛してる中学生を否定してるわけじゃないからねw 

中学3年になった頃、綾香から手紙が届いた。 
綾香「俺君、元気ですか?こっちはすごく楽しいよ。去年のお祭りで撮った写真、送ります。」 

忘れかけていた頃に届いた手紙だった。 
俺君?それなんだよ?一緒にいた頃は俺って呼び捨てしてたのに。
そんな小さな事で熱くなってしまうほどやさぐれてたwww 
その手紙に返事を出さなかった事は未だに嫌味言われるけどwww

その後中学を卒業し、高校に進学した。 

ちなみに俺関東の人間です。 

高校は男子校。噂ではスラムダンクのモデルになったとか、そうじゃないとかw 
バスケは辞めていた。中学レベルの俺に通用する世界じゃなかったんだなw 

高校時代はとにかくバイトに明け暮れた。 
色々な職種を経験した。そうすると悪い仲間も見つかるんだな。 
稼いだ金はみんなバイクに注ぎ込み、夜な夜な遊びまわっていた。 
適当に知り合った女性とも遊んだし、とにかく遊んでいた。 

でも俺、「悪」にはなりきれない人間だった。

 

ある日、コンビニの前で酒を飲みながら友達と遊んでいるとそこに警察が来た。 
近所の人が通報したらしい。未成年の飲酒、補導された。 

警察で一通りお説教をされ、自宅に連絡をすると両親が迎えにきた。 
家に帰り母親の涙を初めてみた。単身赴任で一緒に遊んだ記憶がない父親は黙って俺を殴った。 
この時素直に思った。人に迷惑をかけてはいけない。 
自分の事を気にしてくれる人がいる以上、いい加減に生きてはいけない。 

これをきっかけに大学進学を目指す事になった。 
ただ、この時高校3年。 
当時指定校推薦というシステムがあった。高校学内の内申点(今もそう言うの?)をクリアしていれば面接のみで合格できますみたいな。 
ただ、素行が悪かった俺は内申点なんてほとんどない。推薦してもらえるわけがなかった。

それでも昔から負けず嫌いだった性格が幸いして、学力はそれなりに付いていった。 
人を助けていける仕事に就きたい。かといって医者になれる頭はない。そう思って私立の薬学部を受験した。 

届いた結果は「補欠1番」。誰かが入学辞退しないと入れない。諦めて就職か浪人も考えたが 
俺にできる事は待つ事だけだった。 

その後、国立後期組の結果が発表され、少しすると大学から「繰り上がり入学許可」の初書面が届いた。 
これで胸を張って生きていける。そう思えた瞬間だった。 

大学時代は「普通に」過ごしていた。 
今でも付き合いがある友達もできたり 
サークルのマドンナ先輩に食われたりw 
何より薬剤師国家資格を取得できた。 
これが一番嬉しかったな。 

就職も学生研修の時世話になった大学病院に採ってもらえた。

大学病院勤務の薬剤師。
みんながどう思うかは分からないけど、入職一年目の人間なんてただの雑用担当。 

患者さんの荷物運びから、エントランスの掃除までしていたw 

そんなある日俺にも夜勤が回ってきた。 
3次救急の認定を受けている自分の職場は夜間でも救急患者が搬送されてくる。 
交通事故の患者がほとんどだが、中には自殺未遂の患者さんなんかもいる。 

通常救急受け入れ要請があると、医局のドクターは自分たちの体制を確認する。 
受け入れベッド、ナースの数、保険屋との連絡など多岐に渡るが、その中で受け入れを決定した時のみ自分たちが呼ばれる。 

処置室で使用する薬品を届けるのだ。医局から情報が流れてきてそれに合わせ薬品を準備する。 
それができあがると、処置室に運ぶ。 

それを処置室に詰めているナースに渡すのだが、そこでまさかの出会いがあった。

俺「お疲れ様です。薬剤部の俺です。ドクター指示通りに投薬準備してきました。確認をお願いします。」 
○○「お疲れ様です。確認できしだい、サインします。内線折り返し連絡いたしま・・・します?」 
俺「(なんだろこの人・・・)了解しました。よろしくお願い・・・しま・・・綾香?」 

そこに居たのは綾香だった。身長が高くなり少し痩せた感じもするが、間違いない。綾香だ。 

救急に携わるものは私情を挟んではいけない。対応に遅れがでるかもしれないからだ。
 でも・・・無理だよねwだって綾香だよ? 
当時俺が勝手に判断して手紙返さなかったから自己中かもしれないけど、気にせずにはいられないよね。 

しかし、その場はお互いに社会人、事務的に話を進める。 

その後、処置が終わり、医局・看護部・薬剤部で報告書を作成するんだけど、俺は医局の空気が好きじゃないw 
仕事はしっかり終わらせて、喫煙所でタバコを吸っていた。

しばらくすると、長い廊下の向こうから明かりが近づいてくる。 
病院内をラウンド(見回り)する時に懐中電灯を持つのは看護師しかいない。 

看護師 ○○綾香 と書かれたプレートを付けたナースだった。 

綾香「久しぶり!俺だよね?あたしの記憶が間違ってなければ、手紙返してくれなかった俺君だよね?w」 
俺「久しぶり。墨壺倒して怒られてた綾香だよね?w」 

8年ぶり位の再会なのに、不思議と笑って話せた。 
この時昔△△だった苗字が○○に変わっていることに気付いていなかった。

朝になり仕事を終えると2人でガストにモーニングを食べにいった。 

手紙の返事を出さなかったとかそんな事はなにも言わずに、書道教室の話、部活大変だったとか、そんな事ばかり言っていた。 

その日は改めてよろしく、という感じで別れたが、その後
勤務時間が合えば食事に行ったり、カラオケに行ったりと友達付き合いをしていた。 
あえて苗字が変わった事に築かないフリをしながらw 

こうして2人の時間をすごしていくうちに男女としての興味をもってくれたんだと思う。 
そんなある日、仕事終わりに居酒屋に飲みに行った。 

酒も進んで代行呼ぼうって頃合いに綾香が話し出した。 
綾香「こうして話してると公園で遊んでた頃思い出すね。俺を、俺だけを全力で見ていたあの頃。あたしが引っ越して連絡くれなくなったけど、俺を思い出さない日なんかなかったかもしれない。 
それは言い過ぎだけどwでもね、俺と一緒にいて最近また思うんだ。 
ねえ、あの頃みたいに戻れないかな?今度こそお互いを大事にしていけないかな?」 
俺「確かに楽しかったな。でも・・・なんでもない。」 

俺は言えなかった、苗字が変わってる事に気づいてる事を。 
綾香はゆっくり考えて欲しいって言ってたけど、どうなんだろう・・・。 


それからしばらくその話をすることはなかったが、 
ある日俺が家に帰ると、家の前に綾香がいた。 
なんでマンション知ってるの?とか怖い感じはしなかったけど、なぜかそこに居た。 

俺「お疲れ様。何してるん?」 
綾香「お疲れ様。何って?」 
俺「いや、ここ俺の家だしw」 
綾香「あたしもここだけど?w」 

一つ上の階に住んでいましたw 
マンション言っても病院の寮だから当たり前っちゃ当たり前だけどw 

 

綾香「まさかねw今少し話せる?」 
俺「いいよ。うちあがるか?」 

そう言って綾香は俺の家に来た。 

話の内容は 
・当時は返事くれなかったこと諦めたけど、今は諦めたくない。 
昔の思い出が色付けてるかもしれないのは理解してるけど、それでも俺が好きな気持ちは変わらない。 

綾香との再会に懐かしさと、昔の甘酸っぱい感情を覚えた俺は、聞いてみることにした。 
俺「綾香って苗字△△だよな?○○って?結婚してるんじゃないの?」 
綾香「えっwww名古屋に引っ越してからお父さんの仕事ダメになって離婚したんだよ。 
返事聞かせてくれる感じ全然なかったのって、苗字のせい?」 

その通りですw人妻を・・・なんて俺にはできませんwww 

2人で笑い転げた。世界はみんな俺たちのため!みたいに思ってた当時みたいに声をだして笑った。

 

こうして俺たちは改めて交際することになった。 

ちょうどこの日、夜勤明けだった俺たちはそのまま部屋で過ごした。 
2人で色々な話をした。笑いすぎて喉がカラカラになる位。 

夕方になり、自分たちの地元に遊びにいった。 
中央公園である。 



きれいな夕焼けの中、 
小学校からの友達で 
成長して中学になり付き合ったけど 
互いの都合で一時は離れ 
8年ぶりに再会した俺たちは 
再びキスをした。 


大人のヤツwww

8年ぶりに再会した俺たちは再び恋人となった。 

この時俺は23歳、社会人1年生。 
綾香も23歳、社会人2年生。 


昔の恋人なのに、いや昔の恋人だからこそかもしれないがすごく居心地がよかった。
懐かしいのに、新鮮で、すごく落ち着く。 
顔も、話し方も、匂いも全てが綾香のままだった。 

匂いって人の記憶に残るものなんだな。日勤の日の夜、俺の部屋に遊びに来ていた綾香がこう言った。 
綾香「この部屋の匂い、なんか落ち着く。あたし昔もこの匂い好きだった。 
昔隠れて抱きしめてくれたりしたでしょ?あの感じなの。 
この人をずっと見ていたいって、そばにいたいって思える。 
手紙の返事くれなかったことは許さないけどw今こうしていられることが幸せなんだ。」 
俺「そっか」 
綾香「また、そっかwww布団持って帰ってもいい?wこれで寝たいw」 
俺「ダメ」 
綾香「いいじゃんw」 
俺「泊まっていけば?」 
綾香「・・・うん///」 

この日、俺と綾香はどちらからでもなくキスをして、愛を確かめるように、体をかさn・(ry 



付き合いはなんていうか「普通」。 
流行のデートスポットができれば遊びに行き、イベントwにはプレゼントを贈ったりした。 
もらって一番嬉しかったのは、自分が好きなブランドのベルト。 

衛生職なので、基本的にアクセサリーは着けない。だから見えない所でオシャレしたがるのかもしれない。 
よく看護士は下着が派手とかっていうじゃん?wあれは本当かもね。 


こんな感じで「普通」に時間を過ごしていた。でも・・・神様は優しくないね。

時は過ぎて24歳の6月位。 
仕事にも慣れて、順調に生活を送っていた。交際期間は短いのにお互いをちゃんと受け入れながら 
そろそろ結婚も、なんて意識していた。 

ある日家に帰ると、綾香から着信があった。普段なら俺の部屋に直接来たりするのに。
 綾香「話があるから、そっち行っていい?」 
俺「どうしたの?」 
綾香「顔を見て話したい。」 
俺「待ってるよ。」 

嫌な予感がした。明らかにマイナスの雰囲気。 
浮気してるとかそういうんじゃなく、でもマイナスな予感。 

合鍵で入ってくるのではなく、玄関のチャイムが鳴る。 
そこに立つのは、今まで俺があげたプレゼントを両手に抱え、今にも泣きそうな顔をしている綾香がそこにいた。 

俺はすぐに「別れ」を悟った。 

家の中に招き入れ、話を聞く。

綾香「俺・・・ごめんね。もう一緒にいられない。別れて欲しい。」 
俺「急にどうした?他に好きな人でもできた?」 
綾香「違うよ。そんなんじゃない。でもね、一緒にいられない。」 
俺「俺といるのが嫌になった?」 
綾香「違うよ!そんなわけないっ!!生きられないかもしれないのっ!!!」 
俺「!?」 
綾香「・・・」 

こんなに興奮して声を荒げた綾香を見たのは初めてだった。 
それより「生きられない」って何?ごめんw全然意味分からないww 

綾香「ごめん、頭冷やしてくる。」 

そう言うと綾香は部屋を出て行った。 
俺がただ呆然としていると駐車場から車の音が聞こえた。 
外を覗くと綾香の車が出て行ったのが見えた。 

俺は部屋に戻りすぐに携帯を鳴らした。運転中とかそんな事を考えてる余裕はなかった。 
何度鳴らしても、携帯は繋がらない。どこに向かったか見当もつかなかったが、俺は着替えて車に乗り綾香を探しにいった。 
近所のコンビニ、レンタル屋、行きつけの飲み屋も全て探しに行ったが、そのどこにも綾香を見つける事ができなかった。 
混乱している中で、吐き気がするほど心配していた。 
どれくらい探しただろう。ない頭をしぼると1つだけ行ってない場所があるのを思い出した。 

そう、中央公園だ。

すぐに車で向かう。途中の信号にイライラしながも中央公園に着いた。 
車を停め、綾香を探す。 

公園の中央部分、子供たちが遊べるようになっている芝生の丘がある。 
暗闇の中、俺はそこに綾香を見つけた。 

呼吸を整え綾香に近づきそっと声をかけた。 
俺「綾香・・・どうした?」 
綾香「・・・」 
俺「探したよ?」 
綾香「・・・って・・・い・・・でしょ・・」 
俺「ん?」 
綾香「別れるって言ったでしょ?」 
俺「綾香が今何を考えているのか俺には分からないよ。でも理由が聞きたい。」 

少しの沈黙があって、綾香が話してくれた。 
綾香「5月に健康診断あったでしょ?あれの結果が届いたの。」 
俺「・・・」 
綾香「ガンだって。マンモグラフィーで見つかったの。」 
俺「そっか」 
綾香「そっかとか言わないでよ。だからもう終わりにしよ。」 
俺「なんで?」 
綾香「死ぬからに決まってるでしょっ?!」 
俺「2人でがんばろうよ。死ぬって決まったわけじゃないよ。」 
綾香「だから無理だって!!」 

その時に俺の悪い所がでてしまった。 
俺「お前ふざけんなっ。まだ何もしてないのに死んだ気になってんなよ! 
なんで医療やってるの?患者の負担を軽くできたらって思うからだろ? 
「患者」相手にだってそう思うんだ。 
俺にとってお前は患者じゃない。もちろん「患者」以上の存在だよ。これから先、何があってもお前を支える。 
俺が勝手なのかもしれない。でも、俺はお前とこれからずっと一緒にいたい。2人で生きていきたい。 
お前を心配して、できることなら助けてあげたいって思うのそんなにおかしいか?」 
綾香「でも頑張れないかも・・・」 

後にも先にも、綾香をお前と呼んだのは、この時だけです。 

どう思われてもいいと思った俺は綾香を抱きしめた。 
俺「まず、ちゃんと調べてもらってそれから答えだそうよ?」 
綾香「・・・うん」 

この日は俺の部屋に綾香を連れて帰り、一緒に寝た。 
先が見えない暗闇の中で進むことも戻ることもできない綾香を、ただ安心させたかった。

次の日出勤してすぐに、公休願いをだした。
正月、GWを返上して働いていたために、許可がとれたのはラッキーだったと思う。 
家に帰り、すぐに病院を探す。関東で実績があるガン専門の病院が見つかる。 
連絡をとってみると、診てくれるとのこと。これもすごくラッキーだった。 

暗い顔をしている綾香を乗せ、病院に向かう。
すぐに細胞診、超音波検査をした。 

数日後検査結果を聞きに再び病院へ向かった。 
担当医の説明を受ける。 
結果は黒。乳ガンの可能性大と診断された。 

この病気、早期発見ならすぐに治療し、根治することができる。 

しかし、綾香の場合、病期(ステージ)は安心できるレベルではなかった。 
投薬と放射線照射による治療でいくか、または腫瘍ごと切除するか。ギリギリのラインだった。 
俗に言う「5年生存率」は45〜50%と言われている。 

その後綾香の部屋に戻り、改めて話しをする。綾香の母親と俺も交えて話し合った。 
男の俺がその場にいては、進まない事もあると思い、俺は1人自分の部屋に帰った。

話し合いは案外あっさりと終わった。 
内容なんかもちろん入ってこなかったが、ベッドで本を読んでいると、綾香が俺の部屋にきた。 

俺「どうした?」 
綾香「うん」 
俺「うん、じゃ分からないからw」 
綾香「あのね、あの、もう時計(クリスマスにペアであげたやつ)捨てちゃった?あれね、すごく大事だったの。 
大事だったし、これからも時計使いたいなって・・・w」 

綾香は素直じゃないっていうか、こういう大事な時に、言葉に出していうのが昔から得意ではない。 
でも綾香の気持ちはすぐに理解できたんだ。 

俺「時計、高かったから捨てられなかったよw」 
そう言うと綾香は抱きついてきた。 

綾香「1人じゃ頑張れる自信なかった。これからもそばにいてください!」 
俺「ガン移るから抱きつくなよw」 
綾香「移ってしまえwww」 

こんなやりとりだったと思う。 

とにかくそこからまた3回目のスタートが切られたわけですw

綾香は休職し、治療する日々が始まった。 
放射線照射と抗がん剤の副作用で、痩せた体が更に痩せた気がした。 

この内容あんまり書けないから簡単に。 
この治療では効果があまりなく、乳房切除の提案を医者から受けた。 

正直俺は女性が乳房を切除するという気持ちが理解できない。自分にはないものだから。 
でも女性は気になるみたいだね。 

ガンの浸潤もそこまでひどくはなく、部分切除でもいけるとの診断だったが、 
結局大事をとり右胸の全切除でいくことに決まった。 

肉体的、精神的に負担が多くなる事は明らかだった。また経済的にも。 
考え抜いた末、俺は決めた。

「結婚」 

これからの綾香を支えていく。 
神様の前で誓って俺の気持ちを伝えたい。 

考えてみると、俺の方こそ自分の気持ちを伝えた事がなかった。 
中学生の時に告白してくれた。 
また職場で再開した時も綾香がきっかけをつくってくれた。 

今度は俺が気持ちを伝える番だと思った。

そこから2週間かけて準備を進めて、抗がん剤の副作用が軽いと思われる日に、いよいよ当日を迎えた。 

場所は八○島シーパラダイス。 
ここにはオーロラビジョンがあり、ある程度お金を払えばそれを使わせてくれる。 
またライト等の演出もしてくれるのだ。 

朝はゆっくり準備して、お昼前くらいに出発。昼過ぎからゆっくり時間を過ごして「その時」を待った。 

園内ラジオのDJが話を進めていく。 
DJ「八○島シーパラジオ〜(ry 
本日おこしのお客様・・・ベストカップルは!!」 

その時、俺たちがオーロラビジョンに映し出される。 

俺「(ニヤニヤ)」 
綾香「(???)」 

DJ「彼氏!彼女に伝えたい事があるんだよね?」 
周り「???」 

ちょっと間があって 

俺でかい声「俺は綾香を愛してる。綾香を幸せにしたい! 
・・・いや、違う!俺「が」綾香といると幸せになれる! 
だから、結婚してくださいっ!!」 

周り「(まばらな拍手)」 
DJ「綾香ちゃん、俺君に返事してあげられるかな?」 

綾香でかい声「あたしの方が、幸せだしっ!!」 

周り「おめでと〜」 

これが俺のプロポーズwドラマみたいだよなwない頭しぼって考えた演出だよwww

こうして俺たちは結婚することになった。 
自分の両親や、謝ってばかりいる綾香の母親を説得するのに多少時間がかかったけど、お互いの親から許しを得ることができた。 

急いでいたこともあり、互いの親戚だけを呼んで式をあげた。 
写真撮影も当日だけ、とてもかわいく小さな結婚式だったけど、俺はこの写真を墓までもっていくw 

この日、教会で見せた綾香の笑顔は 
中学生の時に校門で見た笑顔と同じくらい 
キラキラしていた

このあと新婚生活が始まってすぐに、綾香がオペを受ける事になる。 
聞いていて気持ちのいい話じゃないかもしれないんだよね・・・。

後編へ続く


引用元:鬼女まとめ速報

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